作ったゲームの宣伝



 この記事は、Kumano dorm. Advent Calendar 2021の2日目の記事です。

 三つ子の魂百までというがこの言葉は私には非常によく当てはまっていると思われる。私は物心つく前から機械と工作が大好きだった。幼稚園のお遊戯の時間には歌を歌う代わりにスピーカーの配線に興味を持ち、曾祖母が亡くなったときには走馬灯で遊んでいたぐらいだ。小学校に入ったころ、そんな私のために父はお古の理科工作図鑑[1]を譲ってくれた。載っていた工作はどれも明らかに小学生の手には負えるものではなく水銀や硫酸が必要なもの、溶接技術を必要とするものさえあった。作る目標もアーク灯や変圧器、配電盤など普通の子供が興味を持つはずもない物ばかりであった。著者がなぜこの内容で子供向けを名乗ることができると思ったのかは甚だ疑問ではあるが実際、当時の私にはこの本は非常に魅力的だった。載っている制作物の身近な感じや実用的なところに惹かれたのだ。身の回りにあるありとあらゆるものを自分で作りたくて仕方なくなった。それからはラジオや幻灯機などを自作しては周りの人間に自慢する日々だった。そんなある日、私はある本に出合った。おそらく大半の人は小学生の時に読んだであろう名著、都会のトム&ソーヤ[2]である。ざっくりと説明すると中学生の主人公が究極のゲームを作ることを目指し、伝説のゲームクリエイターである栗井栄太と勝負をするという作品である。私はゲームが大好きであったがそれまではゲームを自分で作るという発想に至ったことすらなかった。ゲームを自分で作るなどというのはあまりにも非現実的すぎたのだろう。ゲーム作りに関心を持ってからは早かった。ひたすらインターネットで情報を集めてゲーム作りに励んだ。様々なプログラミング言語をかじってもみた。だが完成することはなかった。当時まだ九九がようやく言えるようになったような年齢である。プログラミングを学習するにはあまりにも前提となる知識が足りていなかった。こうしてゲーム作りは諦め、プログラミングの知識の断片でメモ帳ウイルスやブラクラを作って遊んだりニコニコ動画にひたすらこもって時間をつぶしたりするような人間が完成してしまった。

...

 時は流れて大学に無事入学した後、再びゲームを作りたいというモチベーションが湧いてきた。またもや自分の運命を左右する本と出合ったのである。その本とは、おそらくほとんどの人はすでに読んでいるであろう名著、ステラのまほう[3]である。高校生である主人公たちが楽しく和気あいあいとしてゲームを作るという作品だ。高校生でもゲームが作れるなら自分でも作れるのではないだろうか。大人が子供に負けるはずがない。やってやろうじゃないかと思えた。そうして授業と授業の間、時には授業開始と授業終了の間にプログラミングの勉強をし始めた。最近はゲームを作り方に関する情報も以前よりずっと手に入りやすくなっておりなんとか自分も一本ゲームを完成させることができた。それがPandAのゲームである。PandAを左右に動かして落ちてくる単位を集めるというだけの単純なゲームだが意外と面白くできたように思える。こうして自信をつけた私は今回新たに、寮祭をテーマにしたゲームを作ろうと考えた。それがあじりのエクストリーム帰寮である。注:音が出ます。
 今回のゲームは横から流れてくる障害物をひたすら飛び越え続けてどれだけ走り続けられるかを競うというものである。前回のゲームでは落ちてきていた物体を横から流れてくるように変えて左右移動をジャンプに変えただけであるがかなりゲーム性が異なったものになったのではないかと思う。ぜひ遊んでみてほしい。知り合いとスコアを競うなどしてくれればなおうれしい。やはり、ゲームは人に遊んでもらってこそである。人が自分の作った物で遊んでいるところを見ると幸せな気持ちになる。これはゲームに限らずものづくり全般に言えるのではなかろうか。作っているものが完成した喜びとそれを使ってもらえた喜びの両方が得られるから何かを作ることは楽しいのである。

おまけ
この文章よりも上のどこかに隠しリンクがあります。すごく暇なら探してみてね。

追記:
ステラのまほうは名著です。読もう。

[1]実野恒久, 学習理科工作図鑑(保育社, 1964)
[2]はやみねかおる, 都会のトム&ソーヤ(講談社, 2003)
[3]くろばU, ステラのまほう(芳文社, 2012)